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ふとした言葉はあなたへのメッセージです。 そのまま受け取ってください。

シンデレラとあしながおじさん

子供のころ 一番初めに買ってもらった絵本が「シンデレラ」だった。

そして 小学生のころ母がバザーで買ってきた本が「あしながおじさん」だった。

 

どちらも大好きで何度も何度も読んでいた。

共通しているのは 主人公に両親がいないことだった。

 

「私はこの家の本当の子供じゃない きっと優しい本当のお母さんがいる・・」

厳しく叱られた後なら 誰もが一度は空想するファンタジーを 幼い私も夢見ていた。

 

ある時(小学生のころ) 理科の実験で 指からほんの少し血を採って 血液型を調べるという授業があった。

 

そして どんな血液型の組み合わせから どの型の子供ができるのかも教えてくれた。

 

そこで私は自分の目を疑った。

何度見ても 私の血液型は 今の父母から生まれようがない・・のだ。

 

小学生の私は 夢見ていたファンタジーが「現実」に現れたことに 唖然としていた。

そう ただただ驚いていたのだ。

 

そして ある日の夕食時に 母にこの実験の結果を話してどうしてか聞いてみた。

 

母は全く顔色も変えずに

「生まれたばかりのころ 体が弱くて 血液を全部入れ替えたから。」

と言った。

姉弟の中では 体が弱い方だったので

「な~んだ そうだったのか。」

と現実に引き戻されてファンタジーが しゅるしゅるとしぼんでいくのを感じていた。

 

そして 楽しい空想の世界を卒業したころ 真実を知ることになった。

うすうすは感じていたけれど はっきりと戸籍に「養女」と記されているのを見た15歳のころ それはそれで消化に時間がかかった。

 

その母も 去年の7月にこの世を去った。

幼いころ 母は途方もなく怖い存在で厳しかった。

冷静で気性が激しく 我慢強く 賢くて強くて 余計なおしゃべりはしない人だった。

 

でも 私たち姉弟三人は その強さの下にある愛情と優しさに守られて育てられたのだ。

 

(父は 何度も蒸発を繰り返した後 母と離婚し 私たち子どもは三人母に育てられた。)

 

生みの母は 私が1歳のころ病気で亡くなっている。

実の親とは 本当に縁が薄い。

 

たぶんそういう設定をして生まれてきているのだろう。

 

育ての母には 深い感謝しかない。

葛藤した時期も もちろんある。

 

でも あの母がいたからこそ 家がどんな状態でもどこかで安心していたのかもしれない。「この人がいるから大丈夫だ。」と。

子供にとって それが何より大切なことだ。

 

実際 厳しい状況の中 何度も何度も私たちを守ってくれた。

その背中を見て育つことができて 本当に良かった。

 

けがや病気の多い人だったから 体のないあの世で ゆっくり休んでほしいなぁと思う。

まだあなたを思うと涙が ツーと流れる。

 

深い感謝とともに いつもあなたの子供でよかったと思います。