すべて幻・・。
悪い意味や諦めではなくて、ただ純粋にこの世のことも夢もそう変わらないくらい幻なんだ・・・と思った。
吉本ばななさんの小説「彼女について」を読んで、そのことがよりリアルに怖いくらいに感じられた。
自分の夢ともシンクロする内容だったので、より現実感があったのだ。
完璧なタイミング・・・だ。
「なるほど~」と腑に落ちた。
ただ幻のように儚くはあるけれど、だからこそすべてが愛おしいと感じる。
日常のあらゆる些細なことの中に奇跡を感じる。
ばななさんは、そういう繊細な「感じる」を言葉で表現できるひとなんだなぁ・・とその透明感のある文章を読みながら感心する。
そして、いつかこのかたい物質の世界をも懐かしく切なく思い出すのだろうか・・・と思ったりする。
「私」と思っている存在がなくなっても、続いていく世界。
あらゆるストーリーが繰り広げられる世界。
そこで遊ぶ人々。
そのことに気づいている意識・・。
「一人はみんなのために、みんなは一人のために。」
という言葉の中には、ある意味深い真実をも見ることができる・・・とふと思った。