子供からのギフト
もうすぐ母の日である。
私には一人、息子がいる。
彼は、私を選んで生まれてきたらしい。
私はこの人生で、結婚もしないし、もちろん子供も産むとは思っていなかった。
(小さなころから結婚に夢もなく、家庭にも希望がなかったので。笑)
それがなぜか結婚もし、おまけに子供も持った。
そして、彼は私に想像もしない大きなギフトをもたらした。
彼は、世間的にはとても変わっている。
発達障害のグレーゾーン・・・というなんとも微妙な感じで、育てるのは正直大変だった。
ある意味とても頭がよく、純粋にこちらの矛盾をストレートに突いてくる。
彼には本当に疑問なのだ。
世間の常識なんて通用しないし、そもそも常識という前提がない。
「ガーン」・・・である。
何度頭を抱えたかわからない。
でも、ひとつひとつよく聞いてみると、
「なるほど~それもそうだよね。」
ということが意外にも多いのだ。
たとえば、何が何でも一番から問題を解いていく必要はないし、筆算するのにさしなんかなくてもいいし、(必ずさしをつかえと先生は指導する。)もう覚えている漢字を何回も書く必要はないのだ。つまり、何が重要で何がそうでないかわかりにくいのだ。
勉強で重要なのは、きれいにノートをとることでなく、学んでいることを理解する・・ことだ。そこがゴールのはずなのに、それに付随する雑多なことで疲れ切って、混乱していた。
集団でそろって何かする意味も彼には分らなかった。
大概の人が意味も解らず大人が言うから、先生が怖いから、なんとなくみんなするから・・・ですることは、彼にはまったく通じなかった。
・・・といって、まったく参加しなかったわけではないが、とても、大変で苦痛だっただろう。
自分が納得できないことをするのが、一番苦手なのだ。
そして、大人もそれを納得させるほどの説明もできず、ただ自分も小さなころからの刷り込みに従い、それをするのが当然と思っていることが世間にはとても多い。
「とにかく黙って従いなさい。そうすれば丸く収まるから。」・・・・なんていうことは、彼にはまったく、理解不可能だった。(今もよく言われるらしく、「それができればこんなに苦労しないよ・・・。」と言う。確かに・・・。笑)
よって、ご想像通り、トラブル続きの日々だった。
小学生時代は、気持ちの休まる日はほぼなかったほどだ。
私は、彼を育てる中で世の中の矛盾や無駄なことに気付き、自分の先入観や固定概念にも気づかされ、随分成長させてもらい、また鍛えられた。
とにかく、まったく自分をよく見せよう・・なんて気持ちはさらさらないし、驚くほど家でも外でも同じなのだ。
と言っても、無遠慮で礼儀知らずでもなく、よく考えて自分なりに発言しているのだが、それでもストレートなのだ。(普通よくある壁がまったくない感じ・・)
自分のこだわりもあり、人とのコミュニケーションにも難しいところもあるが、人としてとても純粋で、親から見ても素晴らしく、またよくこんな大変な人生を選んで生まれてきた・・・と感心するのだ。
そして、私にたくさんの気づきとチャレンジをプレゼントしてくれた。
彼からもらったものを、また子供たちへと渡していきたくて今の仕事をしている。
たくさんのこどもたちとかかわる今の仕事は、楽しく、そして逆にこどもたちから再びたくさんの気づきをもらっている。
子供のころの私が、今の私を見たらびっくりするだろう。
それほど、自分が思いもしなかった方向へと進んできている。
だから、人生は面白い。
彼もまだまだこれから山あり谷あり・・・だろう。
母も自分の人生を生きて、あなたに追いつけるように頑張るからね。
(彼のほうが魂的には進化しているらしいので。)